RICE処置とは、スポーツや日常生活で起こりやすい肉離れや打撲、捻挫などの急性外傷に対する応急処置のことです。お子さんがスポーツ中に怪我をしたらどのような対処をしますか?医療機関に連れて行くまでの応急処置は何ができるでしょうか。
RICEとは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったもので、それぞれの処置を行うことで、痛みや腫れ、内出血を抑える効果があります。この記事では、RICE処置の目的や方法、注意点について解説します。
RICE処置の目的とは
RICE処置の目的は、ケガをした部位の障害を最小限に抑えることです。ケガをしたらすぐに運動を中止し、患部を動かさないように安静に保ちます。これによって、損傷部位の悪化や合併症を防ぐことができます。また、患部を氷や保冷剤などで冷やすことで、体温を下げて血管を収縮させます。これによって、炎症物質や白血球などの炎症を引き起こす成分が減り、炎症の進行が抑制されます。さらに、患部にテープや包帯などで圧迫し、腫れや内出血を最小限に抑えます。最後に、患部を心臓より高い位置に保ちます。これによって、血液が心臓に向かって流れるので、内出血による腫れを防ぐことができます。
RICE処置の方法とは
RICE処置の方法は
- Rest(安静):無理な運動は控え、松葉杖など補助具を用いて患部を安静にする。
- Ice(冷却):10分〜20分のアイシングを行う。
- Compression(圧迫):包帯やテープ、パットを用いて患部を持続的に圧迫する。
- Elevation(挙上):患部を心臓よりも高く挙上する。
それぞれに目的や方法がありますので一つずつ見ていきましょう。
Rest(安静)
ケガをしたらすぐに運動を中止し、患部を動かさないように安静に保ちます。運動を中止することで全身の血液循環を抑えて患部への血流量を減らすとともに、必要ならばタオルや添え木などで患部を固定することで損傷部位の動揺を防ぎ局所的な安静を図ります。
さらに、松葉杖やT字杖など補助具を使用し、歩行など移動時の体重負担を減らす(免荷)を行うことで患部への負担軽減を図ります。
Ice(冷却)
氷や保冷剤などをタオルなどで包んで直接患部に当てます。患部を冷却することで、炎症によって過剰に高まった局所の熱感を下げます。
冷却によって血管を収縮させ、血流量を減らすとともに、低温にすることで細胞の活動が緩やかになるため酸素、栄養素の必要量を低減させることができます。その結果、2次的低酸素症を抑制することができます。
一般的には10〜20分程度を1回とし、2〜3時間おきに行います。長時間や頻繁に行うと凍傷や血流障害を起こす恐れがあるので注意してください。
アイシングに関しては以前、こちらのページでまとめましたので合わせて確認をしてみましょう👆
Compression(圧迫)
圧迫は、損傷した細胞や毛細血管から細胞液や血液が漏出する現象(内出血)を抑える効果があります。
圧迫することによって大量に血液が流れ込むのを抑制するとともに、血流が残留するのを防ぐ目的があります。
血管や神経を圧迫しすぎて血行障害や神経障害を引き起こさないように注意しましょう。具体的には圧迫した先の変色や痺れの症状を確認しましょう。
圧迫の方法は収縮性のある包帯やテープなどで患部を圧迫します。圧迫パットやテーピングによる圧迫方法がありますので合わせて確認しましょう。
Elevation(挙上)
患部を心臓よりも高く上げることで、物理的に患部への血流を緩やかにし、患部からの静脈の流れを促進していきます。そのため、患部の内出血を抑える効果があります。
枕や座布団を用いて患部を心臓よりも高くしましょう。
早期競技復帰や患部に対しても内出血が損傷部より下に降りてこないように常に心臓よりも高くしましょう。
足首を痛めた学生や事務職の人によく見られる事として、机に向かう仕事の人は普段から座位姿勢となり、足が心臓よりも下がってしまう時間が長くなります。学校の先生や上司に許可を得た中で、椅子に足を乗せるなど、足を下に下げない工夫をしましょう。
RICE処置の注意点とは
RICE処置はあくまでも応急処置であり、治療ではありません。RICE処置後は速やかに医療機関を受診しましょう。医師の診察や検査によって、ケガの程度や種類が判明します。その後、必要な治療法やリハビリテーションが決められます。RICE処置は、早期にスポーツ復帰に必要な第一歩ですが、適切な治療やリハビリテーションを受けることが最も重要です。
よくある質問としては「お風呂に入ってもいいですか?」と聞かれます。お風呂に入ると血行が良くなり、RICE処置と真逆の行為ですので基本的にはNGです。しかし、シャワー程度に軽く汗を流すのは良いと思いますが上記を踏まえた上で入りましょう。
他にも「お酒を飲んでもいいか?」と聞かれます。同様に血行が良くなりますので、患部のためには控えることがベターです。
まとめ
RICE処置とは、スポーツや日常生活で起こりやすい肉離れや打撲、捻挫などの急性外傷に対する応急処置のことです。RICEとは、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとったもので、それぞれの処置を行うことで、痛みや腫れ、内出血を抑える効果があります。RICE処置はあくまでも応急処置であり、治療ではありません。RICE処置後は速やかに医療機関を受診しましょう。